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クマの被害

令和5年度のクマの被害に遭った人が、全国で212人(11月末暫定値)に上ったと環境省からの発表がありました。
統計を始めて以来、初めて200人を超える過去最多の被害となります。

クマによる被害が増加してから、クマとメガソーラーの関係性がSNSなどで話題となっています。
メガソーラーとは、大規模な発電容量を持った産業用の発電設備となり、数ヘクタールの広大な土地に設置します。設置のために森の木々が広範囲で伐採されるため、クマなどの生息域の縮小が一因といった内容が拡散されている状況です。

他にも原因として、今年は猛暑の影響で餌となる木の実の不作やクマの生息域の拡大、個体数の増加が挙げられます。
また、人口減などにより耕作放棄地やクマが隠れやすい藪の増加も原因の一つといわれています。

12月に入ると冬眠に入るクマが増えるため、クマの被害は少なくなりますが、「大量出没」した年には、12月以降も他の年より出没や被害が多くなる傾向があるので注意が必要です。
クマは冬眠に備えて餌をたくさん食べる習性があり、初夏と比較して体重を1.2~1.3倍に増やし、脂肪を蓄えなければ冬眠中に餓死してしまいます。そのため、生存率を上げるためにも冬の間も採食行動を続け冬眠をしない場合があります。

しかしながら、クマは生態系を支える役目をはたしています。
クマが生息している森は、餌となる植物や昆虫などが豊かであり、森の土地や水、空気も健全な状態といえます。逆にクマがいない森は、小さな野生動物の絶滅や水源が汚染されているなど、生態系に異変が起きている可能性があります。
クマの生息地に近いところで生活されている方々にとっては、恐ろしい存在ではありますが、クマの生息有無で森の状態を確認することができます。

本来クマは人を避けて森の奥深くに生息していますが、果樹や生ゴミ等の誘引物を放置すると餌を求めて人里近くまで出没することがあります。
クマの被害を防ぐためにもクマの生態を知り、藪の刈り払いや庭の果実を除去するなどの対策を行い、クマの出没を抑制するための地道な取り組みを続けていく必要があります。